今回の花は「ヒトリシズカ」。
別名には「ヨシノシズカ」や「マユハキグサ」があります。
花言葉は「隠された美」「愛にこたえて」です。
基本データ
学名
Chloranthus japonicus
和名
一人静
英名
Chloranthus japonicus
科名
センリョウ科
属名
チャラン属
開花時期
4~5月
花言葉
「隠された美」「愛にこたえて」「静ひつ」など
花色
白色
花名の由来は、静御前の「白拍子の舞」
ヒトリシズカの花名の由来について解説していきます。
皆さんは「静御前」という女性をご存知でしょうか?
静御前は平安時代末期の武将、「源義経」の愛妾です。
彼女は義経から非常に深く愛されていました。
兄「源頼朝」との不仲がきっかけで京から追われる身となった義経は、静御前と共に九州に向かいました。
その旅の途中、静御前の身を案じた義経は、吉野山の山中で彼女と別れる決心をします。
しかし雪のふる山中で静御前は追っ手に捕まってしまい、鎌倉へと送られてしまいます。
そこで彼女は源頼朝とその妻北条政子に「舞を披露せよ」と命じられます。
静御前は長旅の疲れがたまっていた上に子どもを身籠っていました。
それでも彼女は命じられてた通りに舞を披露します。
義経を恋い慕う内容の歌とともに踊ったその時の舞が、
ヒトリシズカの名前の由来となる「白拍子の舞」です。
気高く美しく舞う彼女の姿を、ヒトリシズカの花の咲く姿に重ねたのでしょう。
頼朝は激怒しましたが、北条政子が「自分でも同じことをするでしょう」と取り成すことで、命は助かりました。
静御前の気高さと美しさが際立つエピソードですが、後に彼女が生んだ男子は頼朝の命によって殺さてしまいます。物語の結末としては非常に悲しい結果となりました。
別名「ヨシノシズカ」
上で述べた通り、静御前が義経と別れた場所が「吉野山」だったため。
義経と別れたときの静御前は、一体どのような心境だったのでしょうか。
別名マユハキグサ
こちらの別名はヒトリシズカの容姿に由来します。
白いブラシのようなその姿が、「眉掃き」と云う化粧道具に似ていたためです。
化粧道具に見立てるところが女性らしさを感じさせますね。
美しく悲しい物語をもつ、可憐な花
今回のヒトリシズカのもつ物語は、非常に美しく悲しいエピソードでした。
しばらくは外国原産の花を多く扱っていたので、日本原産のヒトリシズカの話も久しぶりで新鮮でしたね。
ギリシア神話を題材にした外国産の花に比べて、日本が古くから大切にしている「静かな美しさ」が感じられる花です。
「隠された美」や「愛にこたえて」といった花言葉も納得できますね。
義経は創作物においても人気キャラクターなので、私が義経の物語を目にするときには、ヒトリシズカの姿を思い出すかもしれません。
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