『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』
今回は映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』を紹介。
あらすじ、個人的な見どころ、評価をまとめました。
(核心部分を触らない程度のネタバレを含みます)
映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』の基本データ
タイトル:『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』
監督:ジャスティン・リン
脚本:クリス・モーガン
出演:ルーカス・ブラック
バウ・ワウ
ナタリー・ケリー
サン・カン
ブライアン・ティー
公開:2006年
前作はコチラ
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あらすじ「荒れ狂うカーレースのゆく先は夜の東京」
車にまつわる騒ぎを起こし続け、アメリカ各地を転々としてきた高校生「ショーン・ホズウェル」はついに母親に愛想をつかされ、父の暮らす東京で暮らすことになった。
「カーレースをしない」と父から言いつけられるものの、車を生きがいにしてきたショーンは同級生に誘われ、夜の街で行われるカーレース会場へと赴く。
車を持っていないショーンだったが、些細ないさかいから「D.K.(ドリフト・キング)」と呼ばれる「タカシ」と勝負することになり……。
おすすめ視聴者・読者層キーワード
- アクション
- 裏社会
- 車
ココが見どころ
不思議な魅力を放つ荒削りな主人公
ミステリアスな主人公の登場。意中の女性を賭けた、圧倒的不利な条件のカーレース。レースの後に残る近隣の皆さんには大迷惑な傷跡。まさに「ワイルド・スピード」といった導入で期待感が高まる。
主人公のドライビングテクニックは粗削りで、東京ではじめてカーレースに挑む際は「ドリフトって何?」とぼやき、友人に呆れられる。しかし度胸の座り方を見初められたのか、後のシリーズでも活躍する「ハン」から直々に運転技術を学んでいく。この運転技術の成長過程は今までの『ワイルド・スピード』では見られなかった要素。素行の悪さでたらい回しにされてきた主人公だが、慣れない異国の生活で苦労しながらも車には真摯に向き合う姿は好感が持てる。
舞台となる日本だが……
素行の悪さから日本にいる父の元で暮らすことになったショーン。最初のレース以外の舞台はすべて日本となる。
キャスティングについては随所に著名な日本人が登場するが、ストーリーの進行に関わる日本人役はほとんど見受けらない。ライバル役である「タカシ」を演じるブライアン・ティーは演技力は高く、ライバルとしての存在感も十分に表現できていたが、単純に日本語のニュアンスによる違和感を拭いきれない。
ショーンが入学した学校はあまりにも閉鎖的な雰囲気で、主に交流する相手は日本人ではない。レースの爽快感と日本の閉塞感を対比させたかったのかもしれないが、日本の印象をあまりにネガティブに捉え過ぎている。渋谷を中心とした治安の悪さも目立ち、演出とはいえあまりに日本らしくない風景が常となる。過去にもあった『ワイルド・スピード』の下品さを表現するにしても、日本文化から浮きすぎて異世界ファンタジーに迷い込んだような戸惑いをもってしまった。
作中でショーンは散々「ガイジン」という言葉に振り回されるが、現代の日本人でどれだけの人がネガティブなニュアンスで使うのだろうか。この作品を見て調べた人も多いかもしれない。外国から見て嫌に感じた表現なのかもしれないが、日本人としても曖昧に捉えがちな言葉をこうも日本の常識として扱わるのは少々腹が立つ。
日本を舞台とした意味を見いだせず、リスペクトを感じられない、非常に残念な舞台設定となってしまった。
総評★「リスペクトを感じない」
ある程度のクオリティかつ『ワイルド・スピード』の一タイトルである以上、人気は認めるべきかもしれない。しかし日本を舞台としている以上、最低限のリスペクトを持って欲しかったというのが本音。展開や演出は悪くないのに、随所で塗りつけられた拭いきれない不快感により、『ワイルド・スピード』らしい爽快な読後感をもつことができない。
ストーリーや演出などのクオリティはそこらの作品よりは安定しているので、リスペクト面の話は人を選ぶとしか言いようがない。
時系列としてはシリーズ2作品を開けて『ワイルド・スピード SKY MISSION』へと続くことになる。後のシリーズ作品でも活躍する「ハン」は魅力的なキャラのため、「ショーン」も含めてもっと丁寧に扱って欲しかった。
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