今回は小説『怪盗探偵山猫 虚像のウロボロス』を紹介。
あらすじ、個人的な見どころ、評価をまとめました。
(核心部分を触らない程度のネタバレを含みます)
以前に紹介した『怪盗探偵山猫』の続編にあたります。
オススメ度★★★
『怪盗探偵山猫 虚像のウロボロス』の基本データ
タイトル:『怪盗探偵山猫 虚像のウロボロス』
作者:神永 学
出版:角川文庫
発行年:2014年
あらすじ「複数勢力が起こす大事件の渦中に、『あの男』が現れる」
突如として街に現れ、犯罪者を狩る謎の集団「ウロボロス」。
著名人の悪事を暴き、ネット上を騒がせた天才ハッカー「魔王」。
さまざまな人物の思惑に巻き込まれ、命の危機にまで追い込まれる勝村の前に、再び「あの男」が現れる。
ココが見どころ
キャラクターの魅力
以前に登場したキャラクターが掘り下げられ、違った一面も見られる2巻。
個性がしっかりしたキャラクターが増えたことで、今後の展開にも絡んでくる期待感があります。
見え隠れする山猫の「本質」も、やはり気になるところ。
壮大な事件
悪事を働く者を粛正する謎の集団「ウロボロス」。天才ハッカー「魔王」。
新たな勢力を加えた壮大な事件の内側が、「山猫」が関わることで段々と明らかになっていきます。
複数の視点で語られるので、規模の大きさや内容が分かりやすかったです。
残念ポイント
キャラクターの魅力
ミステリアスなキャラが自分語りした時、読者の取るリアクションは主に2つ。
1.意外な一面が知ることができて嬉しくなる
2.冷める
私の場合は少し冷めてしまいました。
とくに「正義」や「悪」のような個人的な主張は、本人ではなく他のキャラや状況で語らせてほしい。
テンポ良く読める反動か、描写が薄い?
今回の事件も大きな規模なのに、一つひとつのシーンにあっさりした印象を受けました。
キャラクターや組織が多いため、その説明に文字数を使ってしまったのか、描写が薄いかな。
テンポ良く読めることの反動かもしれませんが、その辺りは好みの差。
若干、1巻と事件の前提条件が似ている?
1巻では「山猫」。今回は「勝村」に容疑がかかります。
主要人物のえん罪はミステリの常套手段とはいえ、もう少し間をあけた方が良かったかもしれません。
読み味はまったく違うので気にならない方は気にならないでしょう。
総評★★★「分かりやすく面白いが、前作よりややパワーダウン?」
1巻から評価を少し下げましたが、人によっては上がってもおかしくなく好みの差だと思います。
評価を下げたのも「主要人物のえん罪」という部分によるところが大きく、その根っこの部分に違和感を覚えなければ、とくに問題なく読めます。
といったことから「今後の展望が気になる巻」「気軽に読めるミステリ」という評価に落ち着きました。
事件の内容もおもしろく分かりやすい。文章量も手頃なため、気軽に読める一冊です。
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