小説『怪盗探偵山猫』感想評価|軽く読みやすいオススメ小説

オススメ紹介

今回は小説『怪盗探偵山猫』を紹介。
あらすじ、感想、どんな方にオススメなのかをまとめていきます(核心部分を触らない程度のネタバレは含みます)。

オススメ度★★★★
 キャラクター ★★★★
 ストーリー  ★★★★
 設定     ★★★★

こんなキーワードが気になる方にオススメ
・怪盗
・ミステリアス
・魅力的なキャラクター
・ダークヒーロー
・現代日本

『怪盗探偵山猫』の基本データ

作者:神永学
出版社:文芸社、角川書店、KADOKAWA
発行年:2006年~

あらすじ「謎に包まれた窃盗犯「山猫」が今、動き出す」

盗んだ相手の悪事を暴き、現場に痕跡を残さない謎にみちた窃盗犯「山猫」
とある出版社の社長が殺害される事件が発生し、現場には「山猫」の名で手紙が残されていた。
「殺人をしない」とされていた「山猫」の犯行を聞き、ある男が闇の中で静かに動き出す。

感想・評価

キャラクター★★★★

人を殺さない窃盗犯「山猫」のミステリアスなキャラクターが最大の特徴。
ここに魅力を感じなければ2つほど評価が落ちる。
「怪盗」と銘打つだけにその技術やロマンが溢れた人物に仕立てあげられおり、読後も謎が多く残る。
その特徴ゆえに開錠や変装などの能力に関して堀りが浅く、「スゴイ人物」として最初から評価されている。
表面上は軽い人物として描かれているため、その能力の高さに反して親近感の湧く魅力的なキャラクターが出来上がっており、堀の浅さに目が行き辛い。

基本的な語り手となる雑誌記者「勝村英男」と女刑事「霧島さくら」も一般人に近い感性の分かり易い立ち位置となっており、全体的に読者がしっかりと物語に浸れるようなキャラクター編成になっている。

ストーリー★★★★

トリックなどの物語の工夫より、キャラクターに寄った造りなのは最近の流行りなのか、読み味はライトノベルに似ている。

タイトルの「怪盗山猫」に魅力を感じられれば満足感が得られる内容だが、基本的に記者である「勝村」など他者の視点で語られる。一般人に近い視点で「山猫」が語られ、底の知れなさを読者に伝わえてくれる。
この辺りの「キャラクターの魅力(主に山猫)」を主体として物語が展開されるため、読み味としては「ダークヒーロー」を応援する感覚に近いかもしれない。

反面「ミステリ」として期待すると肩透かしを食らう可能性がある。
犯行動機やトリックは火曜サス○ンスドラマで観られるような感覚で、難解な構成ではなく読者の感情面に訴えかけるような内容になっている。

とはいえ「山猫」の能力を駆使したイベントが工夫されているし、複線もしっかり張られているため、ミステリとして品質が低いわけではない。

設定★★★★

現代日本を舞台にした馴染みやすい世界観に、「山猫」という異質な存在を放り込むことでしっかりと味付けがされている設定。
一般人視点の身近な表現を多用しながら、「怪盗」や「警察」、「裏組織」といった立場の異なるキャラクターを活用してハッキリと線引きがされている。

全体的にシンプルに設定が組まれているが、「怪盗」というキーワードとして大切に扱うことで読者を飽きさせない。

総評★★★★「活字慣れしていない方でも読みやすい優等生小説」

「キャラクター」で軽く読める小説。上でも述べたが読み味はライトノベルに似ている。
視点を変えることでテンポよく読み進めることが出来るので人に薦めやすい。

あまり人を選ばず薦められるとは思うが、個人的には「小説を読み慣れてない人」「軽く一冊本を読みたい方」にオススメしたい。

内容としては怪盗をメインとしながら、展開は刑事主導の推理ドラマに似通っているため「刑事ドラマが好きな方」にオススメ(タイトルに「怪盗『探偵』」とありますし)。

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