今回は小説『完全なる首長竜の日』を紹介。
あらすじ、個人的な見どころ、評価をまとめました。
(核心部分を触らない程度のネタバレを含みます)
『完全なる首長竜の日』の基本データ
タイトル:「完全なる首長竜の日」
作者:乾緑郎
出版社:宝島社
発行年:2011年
あらすじ「夢と現実をゆきかう内に、不思議な出来事が起きはじめる」
植物状態の人間と対話を行うことができる最新医療器具「SCインターフェース」。
少女マンガ家「和敦美」はこの機器を通じて、自殺未遂により意識不明になった弟「浩市」と対話を続けていた。
幾度も対話を試みるも時は過ぎていき、やがて敦美の周りに不思議なことが起こり始める。
オススメ視聴者層
- 「SF」好き
- 「ミステリ」好き
勝手に関連オススメタイトル
アニメ「ID INVADED イド:インヴェイデッド」
少し意味合いも違いますが、機械を通じて他人の深層心理にダイブするつながりで。
ココが見どころ
卓越した描写力
数行読んだだけで、情景がハッキリ頭に浮かんでくる描写力が素晴らしい。
最後までその描写力が如何なく発揮されており、問答無用で読者の脳に映像を送り込んでくる。
題材としては表現が難しいと思いましたが、それを技術で丁寧に料理したなと感じました。
夢と現実のはざまを行きかう世界観
「センシング」という最新医療技術により意識不明の人間と対話を行う内に、現実と夢の境界が分からなくなっていく。
設定としてはありがちですが、不安や不気味さ、何よりこの「不安定な世界」を高水準で表現し続ける筆力に舌を巻く。
こういった世界観だと読者も一緒に「どれが本当なのか」と疑う光景が容易に想像できますね。
読後も「アレはどういった意味だったのか」と、つい考察してしまいます。
総評★★★「夢と現実を、豊かな描写力で料理したSFミステリー」
映画化もしたこの小説。
描写力がすばらしい。
最後まで読みやすく文章で、物語に引き込まれる世界観を描き切った。
「エンディングがイメージ通り過ぎて、あまり好きじゃない読後感」という、あくまで私個人の好みで評価★3にしましたが、多くのミステリ好きの方はもっと評価高そうです。
エンディングについても、わざと分かりやすく誘導している節がありますし、SFミステリー小説
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