映画『氷菓』
今回は小説原作の実写化映画作品『氷菓』を紹介。
あらすじ、個人的な見どころ、評価をまとめました。
(核心部分を触らない程度のネタバレを含みます)
評価★★★
キャラクター ★★
ストーリー ★★★★
設定 ★★★
こんなキーワードが気になる方にオススメ
- ミステリ
- 青春
- 小説原作
- 実写化作品
映画『氷菓』の基本データ
タイトル:『氷菓』
監督:安里麻里
原作:米澤穂信
脚本:安里麻里
エグゼクティブプロデューサー: 井上伸一郎
製作:堀内大示
三宅容介
勝股英夫
阿南雅浩
宅間弘治
出演:山崎賢人
広瀬アリス
小島藤子
岡山天音
原作小説:『氷菓』
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多方面にメディアミックスした小説という共通点からチョイス。どの媒体もオススメできるクオリティです。
「青春」要素からチョイス。「SF」要素も入ってます。
あらすじ「古典部室にいたのは好奇心のかたまり」
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」
そんな信条のもと平穏な生活を求める「折木奉太郎」は、神山高校古典部へ入部することを姉に命じられる。しぶしぶ古典部室へ向かった奉太郎は、そこで好奇心の塊のような同級生「千反田える」と出会う。類い稀な推理抑をもつ奉太郎は、不思議な出来事に興味をもつ彼女の行動力にどんどん巻き込まれていき……。
ココが見どころ
違和感のある配役。でも?
配役に違和感があり、それが作品自体への違和感へとつながるほど大きかったのが痛かったです。「千反田える」や「福部里志」など存在感の大きなキャラが、単純に普通の高校生として見づらい。演技力に問題はなく、単純にキャスティングミスだと思います。
その中で主人公「折木奉太郎」は好演だったと思います。原作を知っていたせいか序盤は少し違和感があったものの、時間を経て「奉太郎」という役を上手く落とし込んでいました。とくに中盤推理パートからの雰囲気づくりはよかったです。
ストーリーの背骨はしっかり。
原作が人気ミステリであるからこそ、ストーリーや謎解きに地力を感じます。配役も人気どころが多いのでそれなりの集客を見込めたのかな?
しかし原作やアニメはキャラクターの個性や青春要素が強く、カッチリしたミステリとは異なる毛色をもっていました。不自然な行動や動機付けがあっても「気にするほどでもないか」と思われる表現で乗り越えることで、評価を得られました。アニメ視聴者の「キャラクターが可愛ければいいじゃん」なんていう感想がわかりやすいでしょうか。
しかし実写化映画である本作で、さらに違和感のある配役で表現するとどうなるか。違和感が違和感を呼び、より浮彫りになっていく負の連鎖が発生します。「原作やアニメを重視し過ぎている視聴者が悪い」という意見もあるかもしれませんが、原作やアニメの反響から映像化している以上、ターゲット層にそのようなファンも含まれているはずです。比べられて当然でしょう。
総評★★★「メディアの違いの重要性を再確認できる」総評★★★
原作小説やアニメを知っている身としては物足りなさを感じつつも、思ったより悪くありませんでした。とくに音響関連はよかったかな(EDの温度の高さには面喰いましたが)。
しかし、やはり配役の違和感はぬぐえません。原作やアニメを知っているからこその解釈違いは大きく、ターゲット層の一部である以上そこは避けて評価はできないでしょう。氷菓だけに。
万能なアドバイサーである姉の存在をはじめ、ご都合主義のある展開は原作小説やアニメではエンターテイメントとして許される範囲の違和感。しかし実写映画として見せられるミステリは、動機付けの仕方1つから違和感が加速していきます。過去の真実があらわになるシーンでも語り口は非常に良いのに、一部の画面や動機に納得ができません。
さまざまなメディアにかかる人気作品だからこそ、その媒体にふさわしい見せ方が重要になりますね。改変し過ぎも問題ですが。演出のためとはいえ最後の謎解き表現が変わっていたのは少し残念でした。
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