今回は小説『ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう!』を紹介。
あらすじ、個人的な見どころ、評価をまとめました。
(核心部分を触らない程度のネタバレを含みます)
『ぼくたちのリメイク』の基本データ
タイトル:『ぼくたちのリメイク』
著者:木緒なち
イラスト:えれっと
出版社:KADOKAWA
レーベル:MF文庫
発行:2017年~
あらすじ「クリエイターの夢破れた人生を、十年前からリメイクする」
ゲームディレクターとして働いていたが、会社が倒産してしまった主人公「橋場恭也」。
夢破れたくやしさに涙を流しながら眠りについた恭弥が目を覚ますと、そこは十年前の世界だった。
希望を取り戻した恭弥は、未来の天才クリエイターたちとともに再び夢へと走り出す。
オススメ視聴者層
- 「クリエイター」要素
- 「ラブコメ」好き
- 「タイムリープ」要素
関連オススメタイトル
マンガ「ぼくたちのリメイク」
マンガ版。私はこちらから読み始めました。
絵が可愛いというのも魅力的だが、シリアスや苦悩の描写が非常に上手い。
個人的には女性陣の萌え要素よりも、男性陣の悩み心をすり減らすシーンの方が印象に残りました。
鬱展開というわけではなく、読者が感情移入してしまうような、ゆったりと心に染みていく言葉選びや表情が絶妙。
もちろん可愛いだけじゃないとばかりにヒロインたちの見せ場も用意していており、そんな緩急やコースを巧みにコントロールした展開で、一話からサクサクと読み進められます。
もし「小説、アニメで気になってはいるけど……」という風に躊躇されているようなら、このマンガ版から入るのも全然アリだと思います。
マンガ「JKからやり直すシルバープラン」
「やり直し」設定から。
主人公の内面がポンコツながら魅力的。
内容的になつかしみ感じさせる設定なので
ココが見どころ
落ち着いた雰囲気の中でときおりクリエイターの情熱のようなものが見え隠れする作品。
クリエイターの視点の情報が多く盛り込まれており、個人的には好きな設定ではあるものの、盛り上がる場面でも人によってはインパクトが薄く感じるかもしれない。
要は「人を選ぶ」。
全体的に話はよくまとまっており、セリフも多めで読みづらさによるストレスは感じない。
10年前のネタや現場知識により「リアル感」を大事にすることで説得力を感じ、違和感なく話に入り込めた。
キャラクターも特徴がハッキリしており分かりやすい。
- 未来からきたゲームディレクター
- 驚異的な才能をもつイラストレーター
- 将来には人気歌手まで上り詰めるが、自分に迷いをもつ役者志望
- 不真面目に見えるが、ときおり才能の片鱗を見せる作家の卵
クリエイターとしての内面を濃く描写しつつ、可愛い美少女キャラの放つ「萌え」要素が潤滑油として有効に働いていた。
総評★★★★「クリエイターの情熱が見え隠れする、基礎をしっかり築いた一巻」
個人的な好みとしてはもっと上げたかったが、続きの展開も期待しつつ控えめの★4。
クリエイター寄りの感性があれば共感しやすいが、万人受けはどうだろうか。
「十年以上前のネタが理解されるのか」
「レーベルと読者層が微妙にかみ合っていないのでは?」
という不安も若干ある。ラブコメ要素とクリエイター要素のバランスも気になるところ。
その分物語に緩急がついているため、日常的な描写が多くても物語としては退屈しなかった。
バトルもののような派手な描写がなくとも、クリエイターとしての熱量を感じさせる印象的なシーンを用意されており、確かな地力が感じられる。
また「タイムリープ」「やり直し」ものらしく、読者の心の片隅に「共感させる」やり方が非常に上手かったところも大きい。
物語は「夢が破れた」という失敗から始まっており、10年前に戻ってやり直すという多くの人が想像しやすいスタートとなっている。
やり直しといっていも簡単な道のりではなく、トライ&エラーの連続。
それでも諦めることを止め進み続ける主人公たちに「自分ならどうしただろうか」と自分を重ね、自然に応援してしまう。
「現実離れした派手な表現」よりも「地に足をつけた共感力」を武器に、今後が楽しみになる基礎をしっかりと築いた一巻でした。
マンガもオススメなのでぜひ読んでみて下さい。
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