今回の花は『月桂樹』。
花の花言葉は「裏切り」などです。
基本データ
学名
Laurus nobilis
和名
月桂樹
英名
Laurel
科名
クスノキ科
属名
ゲッケイジュ属
開花時期
4~5月
花言葉
「裏切り」(月桂樹の「花」の花言葉)
花色
黄など
月桂樹の名前の由来
日本では月の模様は「ウサギが餅つきをしている姿」に例えられますが、中国では「桂の木」に例えられました。
そのような経緯から英名の『Laurel(ローレル)』を日本語に訳す際に、桂に似ているこの植物を、中国の伝承に因んで『月桂樹』という名前を付けられたのです。
蛇足ですが中国では月を「ウサギ」や「桂の木」の他にも、「ガマガエル」や「大きなはさみを持ったカニ」に見立てたりします。
月桂冠
月桂樹は古代ギリシアにおいて勝利と栄光のシンボルとして扱われており、功績を上げた者の頭に被せられました。
与えられたこの冠の名前を「月桂冠」といいます。
体育競技者だけではなく優れた詩人などにも授けられ、与えられた詩人は「桂冠詩人」という称号を得ました。
オリンピックの優勝者に与えられるものとして有名、と思いきや、あちらは「月桂冠」ではなく「オリーブ冠」だそうです。筆者はずっと勘違いしてました。
「裏切り」という花言葉
月桂樹の「花の花言葉」は「裏切り」です。
裏切りの代名詞として、キリストを裏切った「ユダ」という人物が世界的に有名ですが、今回の花言葉はそれこそが由来だったりします。
「ユダが着ていた服が黄色かったから、黄色い花を咲かせる月桂樹は裏切りの花!」
こういう流れでついた花言葉です。
同様の理由で月桂樹だけでなく、多くの黄色い花を咲かせるものにネガティブな花言葉が付けられました。影響力が凄まじいですね……。
「花」とは別に存在する、「全般」と「葉」の花言葉
月桂樹の「花の花言葉」は「裏切り」ですが、それとは別に「月桂樹全般の花言葉」と「月桂樹の葉の花言葉」が存在します。
全般の花言葉は「栄光」や「勝利」、「栄誉」といったもので、「月桂冠」を優秀な者たちに与えたことに由来します。
葉の花言葉は「私は死ぬまで変わりません」。こちらの由来は後述する『太陽神アポロン』の逸話で詳しく解説します。
花と葉で花言葉が分かれているのは珍しいですが、そもそも「葉の花言葉」っていう表現に少し違和感を感じます。
太陽神アポロンの神聖な樹
「私は死ぬまで変わりません」という花言葉の元になった『太陽神アポロン』のギリシア神話の逸話です。
この逸話には『エロス』という神と、川の神の娘『ダフネ』が登場します。
ある日、エロスは弓矢で遊んでいたところ、弓に精通しているアポロンに「弓矢で遊んではいけない」と注意されます。
注意されたことに気分を害したエロスは、アポロンにある仕返しをしました。
恋に落ちる矢をアポロンに、恋を拒む矢をダフネに放ったのです。
矢に射られたアポロンはダフネに求愛しますが、ダフネはそれを拒みます。
やがてそれに困り果てたダフネは、川の神である父に「アポロンに分からないよう、自分の姿を変えてほしい」と頼みます。
その願いを父が聞き届け、ダフネは『月桂樹』へと姿を変えます。
アポロンはひどく悲しみましたが、その月桂樹から冠を作り自分の頭にのせることで一つの誓いを立てました。
この時のアポロンの「不変の愛」の誓いが、「私は死ぬまで変わりません」という花言葉になったのです。
アポロンとダフネが可哀想に思えるエピソードですが、「アポロンはエロスを注意をしたのではなく、からかったことが発端」という説もあります。
アポロン自身もいろいろエピソードがあるので、どれを信じるかによって見方が変わりそうですね。
今回の件については、ダフネは完全にとばっちりを受けた感がありますが。
過去の記事にも『太陽神アポロン』が関わった花を紹介しています。ご参考に↓
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